・CPMは西野博道さんが開発した日本初のマーケティング手法である。
目的
・お客様との絆を深め、どんどんブランドや会社のことを好きになってもらい、ファンになってもらう。
・そのために、「お客様の真理を見える化」し、実際のミーティングで活用する。
前提
「お客様との1対1の関係づくり」が重要なことは永遠に変わることはない
・IT社会以前は、顧客台帳を活用し、サービスの向上に努めていた。
・ITが登場し、データベースマーケティングが使われ始めた。
・ダイレクトマーケティングが目指したのは、店舗で行われていた1:1の関係づくりをどれだけ多くの顧客リストになったとしても、同じように1:1の関係として行うことであった。
・CPMは、本当は一人一人を理解し適切な対応をしたい。という気持ちを実現するために、顧客を10パターンに分類し、どうにか個別対応ができないかを工夫するツール。
売上はお客様を喜ばせたご褒美
・売上が上がらない会社は「売上=単価×数量」で考えがち。
・顧客満足を中心にすると「売上=お客様の満足度×お客様の数」と考えられる。
お客様は変わっていくと考える
・お客様は変わる、だから既存客に継続的に情報提供していくことで、ファンになってもらおう。というスタンスで行動変化を観察していくためのモデル。
RFM分析との違い
・RFMは最近いっぱい買ってくださってるお客様にアプローチしようと考える。これを行うと実際は徐々に対象となるお客様が減っていく。
短期間に売上を上げるには有効であるが、先細りしていく。
・一方CPMは、今は離れてしまったお客様も変わってくれる、共感してくれたお客様は最後は優良客になってくれる。と考える。
正しい情報が見えるようになると、みんなが正しい判断をできるようになる。
・CPMグラフや顧客セグメント別のDMレスポンス率グラフ、推移率表で可視化することが大切。数値の事実に基づいた全員参加型経営ができるようになる。
顧客の10分類
・初回客:はじめて何かを買ってくれたお客様=1回目購入。
・よちよち客:短い期間に2回以上買ってくれたお客様(リピート予備軍)=在籍90日以内、2回以上利用。
・コツコツ客:毎回の購入金額は少ないが安定して買ってくれるリピート客=在籍90日以上、かつ累計基準額未満の購入額。
・流行客:短期間に特定金額以上買ってくれた、プレゼントや値引きに敏感なお客様=在籍90日以上210日未満、かつ累計基準額以上の購入額。
・優良客:長期にわたって特定金額以上買ってくれるファン客=在籍210日以上、かつ累計基準額以上の購入額。
・上記の顧客を現役と離脱に分類するため、全部で10パターンに分類することになる。
・離脱:離れてしまったお客様=240日以上利用していない。
補足
・累計基準額:7回くらい買ったお客様が優良客と考える。そうすると客単価×7の金額が設定できる。
・離脱基準:240日=8ヶ月利用していないのであれば、人付き合いの時間感覚として離れてしまったと考える。(業界共通で変更しない方が良い)
顧客育成の考え方
・基本は、初回 → よちよち → コツコツ → 優良。というステップで進んでくれること。お客様が離脱しないために取り組む。
・流行客は、お得感に関心が高い可能性がある。他で大きな値引きがあればそちらに流れてしまう顧客。
・実際には何割かのお客様が離脱する。
・コツコツ客は、目立たないお客様であるが、安定的に「優良客」に育ってくれるお客様である。
コツコツ客のケアを忘れずに行う必要がある。ここを無視すると貴重な財産を放棄することになる。
CPMで今後の成長を予測する
・コツコツ客と有料顧客の差を確認する。そうすると、期間売上の差が大きいことがわかる。また在籍期間の差もわかる。
これを認識することで、コツコツ客を優良客の在籍期間までフォローし維持すると、売上も優良客の水準まで伸びるということが予測できる。
これをCPMの「リピート曲線」という。=顧客をフォローし続けた結果、売上がグンと跳ね上がる曲線。
・これが起きる理由は、コツコツ客まできたお客様は、クロスセリングを受け入れやすくなるという傾向があるからであって、他の商品の提案にも興味を示し、LTVが向上していくのである。
・コツコツ客のフォローがとても大切なのである!
・クロスセリングを受け入れやすくなる時期もCPMの図を見ることで把握できる。
実際の例
・コツコツ客は今は累積金額も大きくない、しかしリピート曲線から推測すると、あと2年も売上貢献額は5億から20億になる。と予測できる。
なぜリピートが大切なのか
・初回客は広告投資などをして連れてくる。お付き合いが短く離脱もしやすい。つまり投資金額のもとさえ取れず、広告費の分だけ損してしまう可能性もある。
・一方で、コツコツまで成長してくれると、損をするかもしれない段階は抜ける。またお付き合いの長さは、自社との信頼関係に比例する。優良客になってくれれば一人当たりの金額・LTVも大きくなっていく。
・新規獲得で売上を伸ばしても、初回離脱が多いと、経営が苦しくなる。
新規集客の段階から、リピート可能性の高い顧客をターゲットとするのが良い。
顧客分類別に適切な対応を行う
・DMレスポンス率を計測すると、特徴がわかる。
・例えば、流行客はキャンペーン情報によく反応する。
・離脱有料顧客は、戻ってくる確率が高く、戻ってきてくれた場合の貢献売上も高い。
・これらのことから、お客様の特性に合わせた情報を提供していくことの重要性が分かる。
・特性を考えずに全体で見ていると、どの顧客に受け入れられのた・そうでなかったのかが分からない。本当の意味での良し悪しの評価ができない。
推移率を把握し問題解決を図る
推移率を使った考え方の例
・次の例は、新規顧客の20%が優良客になる例である。
・推移率1:初回→よちよち客へ進む率
・50%を基準とする。(ここで離脱した顧客は呼び戻し困難。DMレスポンス率が極めて低い)
・推移率2:よちよち客→コツコツ客へ進む率
・80%とする。
・推移率3:コツコツ客→よちよち客へ進む率
・50%とする。
・このような割合で進むと、100人スタートの場合、50人→40人→20人となり、20%が優良客となる。
・もっとも正確な顧客満足度は「顧客が次の顧客層に移動したかどうか」にあらわれる。
推移率を高く保つ
・初回購入からよちよちへ進むために、本当に買って良かった!と思ってもらえるようにする。手厚いフォローをする。
・通販であれば同梱物等が大切。梱包などで+αの価値を提供することで、リピートにも繋がりやすくなる。
・定期便は推移率を保つための手段。
・コツコツ客に売り言葉で煽ると、悪循環に陥ってしまう。ますますお客様が離れてしまう。
優良客を維持する
・人数の少ない優良客による売上は大きい。なので投資をしてでも顧客サービスに力を入れるべきである。自社なりのVIP待遇。
未来を可視化する
・現在、優良顧客の在籍期間が300日で、一人当たり年間平均売上(年間LTV)が5万円だとする。
・このとき、コツコツ顧客の在籍期間は150日で、年間LTVは1万円だとする。
・この状況で、コツコツ顧客を細やかにフォローし、150日経つと、在籍期間が300日となり、年間LTVが5万円まで向上する=優良客が増えるという絵が描ける。
・このように考え、未来を可視化することができる。